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2005.04.05

平成17年度入学式告辞 「建学の志 生気あふれる開拓者精神」

本日、ここにめでたく入学式を迎えられた新入生の皆さん、入学おめでとうございます。教職員を代表いたしまして心から歓迎の意を表します。また、皆さんをこれまで支えてこられたご両親をはじめご家族の皆様に対しまして、心からお祝いを申し上げるとともに、深く敬意を表したいと思います。
今日みなさんは札幌大学に入学され、学びの門を一歩くぐりました。人生における一つの大きな選択を成し遂げ、それまでとは違った新しい何かの始まりに期待してここに集っています。その今の熱い思いを大切にしていただきたい。
皆さんをお迎えするにあたり、初めに二つのことを申し上げたいと思います。
一つは、本を読むという習慣を大切にしていただきたいということです。読書は大学における勉学の基本的な姿勢です。今日ではインターネットなどにより容易にさまざまな情報や知識を手に入れることができるようになりました。それらは効率的に利用すべきでありますが、モノを知り、思考力を高め、心を豊かにするための手段として、読書こそ、最も効果的な方法であります。若いときに感動を与えてくれた本というものは年をとっても忘れることが無く、美しい思い出にもなります。これからは、自分が勉強する専門分野だけではなくて、あらゆる分野の読書に貪欲であって欲しいと願います。そして多様で豊かなモノの見方や考え方があることに気づいてください。
さて、もう一つは、札幌大学の「建学の精神」についてであります。
「建学の精神」とは、大学を創造していく上での基本理念、中心的な志であり、本学は、この基本理念の実現をめざして、開学以来弛まぬ努力を続けてまいりました。
本学の「建学の精神」は「生気あふれる開拓者精神」というものであります。「開拓者」という言葉から、皆さんはどんなイメージを膨らませるでしょうか。最近は北海道という北の大地の美しさを舞台にした映画やドラマも多く、そこで生活した人間の志や行動に対して、憧れや郷愁を持つ人々もおります。
しかし大自然の美しさはその厳しさと表裏一体であります。昔この手つかずの大地を、自然の猛威と数々の困難のなかで切り開いた多くの開拓者たちがいました。
現在は豊かな農業王国として称えられる北海道十勝の礎となった人物、依田勉三もその一人です。静岡県に生まれた勉三はみなさんと同じ年頃に、アメリカ政府の農務長官ホーレス・ケプロンによる北海道視察レポートに出会い、彼自身のチャレンジ精神に刺激を受けるとともに北海道への夢を膨らませます。機が熟し、勉三は仲間と共にオベリベリという地に入ります。現在の帯広であります。開拓の日々は想像を絶する苦難の道でした。厳しい自然、打ち続く災害や、先住の人々との友情と葛藤。勉三の開拓事業は成功物語ではなかったのです。しかし最後まで挑戦をやめなかった。開墾を志した日の感動と夢が、彼のチャレンジ精神を支え続けたのです。
皆さんのこれからの輝かしい日々の中で、多くの驚きや感動に出会い、心を揺さぶられるような経験をして欲しいと願っています。そのときから皆さんは自分自身を探求し始めるのです。勉学であれ、課外活動であれ、そのなかで伸び伸びと自分の可能性を試すことが大学生活の最も重要な部分であります。失敗を恐れずにチャレンジを続けてください。本学の教職員は全力で皆さんのチャレンジを支援いたします。数年後、みなさんの心の内に「生気あふれる開拓者精神」という熱い志が養われ、一人ひとりが大きく成長していることを期待しています。
人生のなかで最も美しく溌剌としたこの瞬間に、皆さんと出会い共に学び、何かを伝え合い、交流できることを大変嬉しく思います。 入学おめでとう。

平成17年4月1日
札幌大学
学長 宮腰 昭男

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