1999年度4月よりLondon School of Economicsにて留学研修中であります。ここは研究水準も高く、教官・スタッフともに人格的にもすばらしいものがあります。図書館は9月に移転しました。新しい図書館では、発行日の新しい学術雑誌や学生の参考用の図書は一つのフロアーに開架されていますが、それ以外の図書・雑誌は書庫に保管されています。この書庫というのが厄介で、無数の教室サイズの小部屋に点在しているのです。では、これからA、B、Cの3種類の学術雑誌から3つの論文のコピーをとりに図書館へ行きましょう。まず、オンライン検索用のパソコンで雑誌の分類番号を確かめます。図書分類法は日本のNDCの330や331.1とは異なります。雑誌AはHA1、BはHB139、CはQA280であることがわかりました。次に、この分類番号をみて、どの書庫にあるかを図書館のフロアーガイドから探します。HAとHBはL21〜L23、QAはB12〜B13の合計5つの書庫に別れているとします。さて、ここからが探検です。フロアーガイドを広げながら、この5つの書庫を探さなければなりません。新図書館は迷路のように複雑で、1階下におりる階段でも、東側に行ける階段とそうでない階段とがあります。また、書庫の中を通過して向こう側の廊下に抜けたりします。やっとL22に雑誌A、L23に雑誌Bがみつかりました。古いので製本されていますね。ですから、重たいこれらを抱えて次の雑誌を探しに行かなければなりません。これも容易ではなく、両手で抱えた雑誌の上にフロアーガイドをのせながら探さなければなりません。次のB12は隣の建物にあり、一度外に出なければならないようです。まあ、なんとかして全部みつかりました、次に、重い3種類の雑誌を抱えながら迷路を戻って、コピー室に行かなければなりません。コピー室に到着するころは汗だくです。やっとコピーをとり終わっても、複雑な迷路をまた探検して戻る気力はすでにありません。London市内のKing's Cross駅近くに大英図書館(British Library)があります。ここのシステムは独特で、開架はほんのわずかで、オンラインを通じて図書を閲覧します。まず、広々とした読書室に行き、自分の机を確保し、机の番号を覚えておきます。次に、パソコンからオンラインで図書を検索し、その画面から読みたいものをオーダーし、机の番号も人力しておきます。机に戻って約1時間半後、机上のランプが点灯するのが知らせで、受付で図書を受け取ります。つまり、開架に行って図書をぺらぺらめくりながら探すことができません。図書のタイトルだけで選ばなければならないのです。また、書庫はLondon市内の離れた場所にもあり、図書がそこにある場合は、手元に届くまで2日程かかります。読書室からの退出時のチェックも厳しく、持ちこんだコピー類や図書など、一枚一枚全部めくってチェックします。また、コピーをとるのにも、初めての場合は受付で著作権の条項を読まされます。図書を広げてコピーしていると、「EXCUSE ME!」と係の人に怒られます。背表紙がいたむので、図書を最大90度まで広げ、コピー機のガラス面の角に乗せてコピーしなければなりません。コピー機も特殊な作りになっています。図書館は本を閲覧する場所ではなく、保存する所にあるというようです。札大はじめ日本の図書館はなんと使いやすいのでしょうか。みなさん、こんなすばらしい図書館を利用しない手はありませんね。