郡司文庫の整理が始まる

札幌市出身で、今年の四月に84歳で亡くなられたわが国における歌舞伎・民俗芸能研究の第一人者、郡司正勝先生の寄贈図書の整理がいよいよ始まりました。郡司先生の蔵書寄贈については、すでに新聞等で報じられたとおりですが、昨年十月、図書館から課長ほか数名が高円寺の先生宅にうかがい、蔵書を下見し、搬入について打ち合わせをして来ました。先生は、学者・評論家としての研究・執筆活動はもとより、台本の補綴や演出も手がけ、また日舞、日本画、俳句などのたしなみに加えて、広く海外にまで足を運び、精力的にその土地の芸能・習俗を見てまわったと聞きます。このような先生の幅広い活動を考えると、蔵書にかなりの数のビデオ・テープ類が含まれているというのも(筆者は蔵書の全体については未見ですが)十分に肯けます。さて、先生の蔵書のうち、歌舞伎・芸能関係の和書を中心とする約2200冊が昨年度中に図書館へ搬入され、受入れ作業を終えて、現在目録の作成が進められているところです。文庫の蔵書印は写真のようなデザイン(吉見奎鳳氏の作)、OPAC上の排架場所データも「郡司」の使用が決まりましたが、館内での文庫の設置場所についてはなお未定です。蔵書の残りの搬入は、ご遺族の整理を待って、今後数回に分けて行われる予定ですので、文庫開設にはまだ暫く時間がかかりそうです。(森俊司)