1年 田中瞳
平成14(2002)年度から完全学校週5日制が実施される。週につき総合時間数で2単位、授業内容で3割削減されるが、これは子供達にゆとりの中で豊かな人間性を身につけ「生きる力」を育成することをねらいとしている。またこれにともない「総合的な学習の時間」という新しい授業が設けられる。これは自然体験やボランティア活動、高齢者との交流をはかることで、豊かな人間性や社会性を育成することを目指していると文部省が発表した。
昔ならば、大家族が当たり前で、家では必ずおじいちゃん・おばあちゃんが一緒に暮らしていた。しかし、今では核家族が増え、子供達が高齢者と触れ合う機会が減ってきている。そのため、高齢者との交流をはかり、その中で彼らの時代に何があったのかなどを学べるということは、大変よいことだ。また、小さい時からボランティア活動に興味を持たせるのは良いことである。ところが、問題がないわけではない。それは、高齢者との交流やボランティアを授業の中に取り入れ、これらを義務化してしまっているということだ。これではボランティア本来の意義が失われると考えられるからで、授業という形でボランティアをやらなければならないというところに日本の精神文化の貧困を思わざるを得ない。
さて、今回の完全学校週5日制は子供達にゆとりを与えることをねらいとしているが、本当にゆとりは生まれるのだろうか。私(1981生まれ)は小学5年生から月に2回、第2・4土曜日が休日だったため、この時間を部活動などに費やしていた。また他の人々は趣味の時間などにしていただろう。しかし問題なのは、塾などに通い受験勉強に追われる時間になってしまった人もいるということだ。私たちの世代でもこのような生活を送っていたのだから、完全学校週5日制になるとどうなってしまうのだろう。学校の授業は減るし、高校・大学受験のレベルが変わらなければ、それを補うために今まで以上に塾に通い、ゆとりの時間が減る。これでは時間的にゆとりを持たせるという目的に反して、心にゆとりのない子供達が増えてしまう恐れがある。
また完全学校週5日制になることで、「総合的な学習の時間」で学習意欲を伸ばすが、内容量は減ることを前提としている。この具体的な例として数学では円周率と社会では従軍慰安婦問題を考えてみる。
今まで私たちは、円周率を「3.14」と習ってきた。しかしこれからの子供達は円周率を「約3」と習うようになる。なぜ今まで「3.14」と明確な数字で教えられてきた円周率を、休みを増やすということだけで「約3」にしてしまうことが理解できない。
また、私たちの世代でさえ第2次大戦時中のことを学校で教科書を通してあまり学ばなかった。日本の過去にも暗い歴史があるにも関わらず、教科書にはそれらについてあまり記載されていなかった。そのため私たちは戦時中についての知識が少ない。その一つである「従軍慰安婦」問題を取り上げてみる。
私は今回この記事を書くために、従軍慰安婦について色々と調べたが、本当に知らないことばかりだった。まず、従軍慰安婦には日本人、中国・朝鮮・台湾、アジア諸島、インドシナ半島のオランダ人の女性たちがいたということだ。このように色々な人種の人々が従軍慰安婦という扱いを受けていた。今、世界中で従軍慰安婦についての問題が取り上げられているのに、なぜ日本では学校できちんと教えないのだろうか。2002年度版中学歴史の教科書で旧日本軍の加害行為についての記述が大幅に減っている。今までは「従軍慰安婦」という言葉を使っていたのに、「慰安婦」という言葉に変えて記載している教科書が多くなった。ある教科書では「多くの朝鮮人女性なども従軍慰安婦として戦場に送り出された」というものが、「多くの朝鮮人女性なども戦場に送り出された」と曖昧な表現になっている。子供達に教えるものだから簡単に説明するというのだが、従軍慰安婦について終戦後55年経った今でも解決されていない問題がどれだけ残されているのかを含め、もっと事実を中心として適切に教えるべきではないだろうか。
文部省は子供達に、日本にはどのような歴史があるのか、戦時中に何があったのかを教えなければならない。そうしなければ、自分の国の歴史を知らないまま育ち、何も知識がないまま大人になってしまうのだ。世界中で自分たちの国の歴史を教育しない国があるだろうか。
学校現場で教育にたずさわる人々と父兄やPTAが一緒になり、子供達に何を教えるべきかを考え、また何を教えたいかを考え、決定しなければならないだろう。文部省は教育・教科書の内容を一方的に押しつけるのではなく、父兄やPTAの声を取り入れつつ、たえずその実現のために努力していくべきものではないだろうか。そして、21世紀の国際社会で十分にやっていける、恥ずかしくない日本人を育成するようにするのが、彼らの義務であり、同時に我々国民の義務でもある。