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ピースボートで自分探し

渡邊 香織さん
渡邊 香織さん
法学部法学科3年


 草の根の国際交流を展開しているNGO「ピースボート」。法学部3年の渡邊香織さんが今年1月16日〜4月14日、このピースボートの世界一周クルーズに単独で参加しました。3カ月に及ぶクルーズで何を見、何を感じたか、旅のようすを交えて語ってもらいました。

――ピースボートに参加したきっかけは?

渡邊海外旅行の経験がなくて、一度どこかの国へ行ってみたいと思っていたのですが、一人ででかける勇気がなくて。そんな時、サークル会館で昼食をとっていたら、たまたまピースボートのポスターが目に入ったんです。南回りで世界を一周するツアーで、寄航地に興味を持ったことと、国際交流という言葉にひかれて即、参加を決めました。
 ピースボートの第27回目のクルーズで、シンガポールまで南下して喜望峰を回り、南米からオセアニアを経て日本へ戻るというコース。船賃から小遣いまでの諸費用約150万円は両親から借りました(苦笑)。

――旅のようすなどを聞かせてください。

渡邊寄航地が16カ所あって、それぞれ1〜2日ずつ滞在しました。滞在期間は合わせて約30日、残りの60日は船の中という旅です。初めての長期間の船旅。どうなることかと思いましたが、船室で相部屋になった人達ととても気が合ったこともあり、楽しい旅でした。総勢653人を乗せた大型客船とはいえ、東京を出てしばらくの間とケープタウン(喜望峰)の付近では結構揺れてきつかったですが。
 寄航地での行動はすべてオプショナル・ツアーで、いくつか参加したツアーのなかで一番印象に残ったのは、ケニアでのサファリツアー。6〜7人ずつ小さなワゴン車に乗って国立公園を巡り、キャンプをしたのですが、星がとってもきれいで。文字通り満天の星空。感動しました。テントから首を出して星を眺めていると、ライオンの遠吠えが聞こえてきたり。忘れられないひとコマです。

▲チリ・パイネ国立公園へ向かう途中、南部の港町・プンタアレーナスにて。写真中央は水先案内人でギタリストの小林隆さん。
――船の中ではどんなことを?

渡邊船の中にはレストランのほかに屋台もあって、私はもっぱらそこの「まんだら屋」という屋台でタコ焼きを焼いていました(笑)。屋台の人とワイワイ仕事をさせてもらったことが、なぜか強く印象に残っています。大学の軽音楽部でキーボードを担当しているので船内でもバンドで演奏をしたり。デッキでエクササイズもよくやっていました。同乗していた芸術関係の水先案内人による講義も聞きました。既成概念にとらわれずに音楽や映画を観賞するにはどうしたらいいかといった内容で、興味深かったですね。
 他にも、ピースボートのメンバーの方が映画やゲームなど、日替わりでいろいろなメニューを用意してくれていて、船の上という狭い場所ですが、陸にいる時以上に密度の濃い、楽しい時間を過ごせました。 
 ただ、テレビもラジオもなく、まわりは海原だけという世界に息苦しさを感じたこともありました。シンガポールからセイシェル諸島への移動と、チリ−イースター島間はほぼ1週間、ずっと船の中。自分の「位置」が明確にわかる日本という社会を離れて、閉じられた未知の空間に長期間、身を置いてみた時に、自分とはどういう人間なのか、自分の存在とは何なのかといった、浮遊感のようなものを痛切に感じました。

――自分のスタンスが見えなくなった?

渡邊自分を知っている人がいない環境の中では、こちらが何かアクションを起こさなければ誰も自分に気づいてくれないし、何も始まらないことを改めて認識させられました。それまでの日常を離れて自分と向き合い、わが身のことなどをゆっくり考えられる時間を持てたこと、自分の意識が大きく変わったことが、今回のツアーの何よりの収穫だと思います。

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